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 《空手バカ一代・・・熱闘編2》

Vol.35 2001/12/22

期待半分、恐怖心半分でいよいよ始まったライトスパー(ケガしない程度のドツキあ い)。
「目の前にいる人を蹴りなさい」っていうんだから、日常生活では裁判沙汰確実のデンジャラス極まりないレッスンなわけだけど、ここ極真では何の問題もナシ。
むしろ蹴らない方が「はいそこ!気合入れて〜!」なんて注意されそう。

そんじゃ頑張るぞ〜〜。
ヨ〜〜シ、気合入れてキック!

「バスッ!!」

当たるじゃないか、ローキック(下段回し蹴り)。
もうガードの上から蹴っても相手の白帯君(高校生)は体ごと持っていかれてるぞ。
スゴイスゴイ。強いじゃないか、オレ!

・・・・って待てよ。ガードしてても体ごと持っていく?
ガードしててもキックが(足の重量が)重いから持っていかれてしまう。
オレの攻撃、体力だけで押し切ってんじゃないのか。
別の表現で説明しよう。
体重が重いから押し切れてるんじゃないの?

ダ〜〜〜〜〜メジャ〜〜〜ン!これじゃ。

元を正せば極真会館入会の一番の動機は「ダイエット」。これに尽きる。
なんてったって極真会館の入会の書類に「ダイエットのため入会」って書いてあるく らいだから、もう痩せないことには入会した意味が無い。
でも今のオレの強みはこの重い体から来る重い蹴りと突き。
痩せなきゃなんないオレが痩せたら弱くなるこのジレンマ。

もうどうすりゃいいのよって感じで悶々としているうちに、ライトスパー1分終了。
体重のおかげで押しまくりだよ、オレ。
なんだか釈然としない気がするけど、よく考えたら体重減った分だけテクニックがつけば何の問題もないわけだよ。
そう、やはり練習あるのみだ!

と、ポジティブシンキングに切り替わったと思ったら、次は確かパートナーがずれて 黒帯さんとスパーだよ。
もういきなりネガティブシンキング、死ぬんじゃないのか? オレ。
白帯同士。これはいわば初心者同士。
わかりやすいクラス分けをすれば「バンビさんチーム」もしくは「ガゼルさんチー ム」と言ったところか。
まだまだ技も根性も不十分なスパーは、どちらかと言えばスパーと言うよりじゃれ合 いに近い。
それに対して黒帯さんをわかりやすくクラス分けすればどうなるかと言えば。 それはもう「ライオンさんチーム」か「トラさんチーム」、もしくは「イヌワシさん チーム」などなど、「猛獣」もしくは「猛禽類」と呼ばれているジャンルがピッタ リ。
バンビ阿部はライオンさんに立ち向かうのか?

「ハイそれでは一つずれて〜」

立ち向かうようですね、どうも。
目の前に構えている黒帯さんは見た目はそんなにマッチョじゃなくって、どちらかと 言えば細身な方だと思う。
けどあれだよね、じっとしてても強そうだわ。
もし彼が本気で潰しにかかったら10秒と立っていられないよな、確実に。
また悪い事に、オレは見た目だけはゴッツク見える。
実力はバンビちゃんであったとしても、見た目で言えばグリズリー(学術名:灰色熊)阿部って感じに見えなくもない。
鍛錬を積むライオンにはまさに格好の修行台に見えるかもしれない。(オイオイ)

「お互い礼!はじめ〜!」

はじまっちゃったよ、ライオンさんとスパーリング。
もうこうなったら実力がバンビであろうがインパラであろうが泣き言を言っても始まらない。
ライオン、勝負!
って攻めてこられないですね、ライオンさんは。
それどころか胸のガードをわざとに開けて「ココ打ってください」みたいな格好で誘ってる。
もうそこまでされちゃあそこを攻めるしかないだろう。

正拳突き、トリャ!

当たった!!
ってそりゃ当たるわな、ココ打ちなさいってガード開けてくれてるんだから。
さらに「もっと強く打って〜」みたいな感じで胸をトントンと叩いてるよ。
もう完全にコッチのバンビレベルに合わせてくださってて攻め放題。
優しいじゃないか!ライオンさんチーム。

おぉ、さらに自分の太腿をポンポンと叩いて「ココを蹴りなさい」とアピールしてる じゃないか。
ライオンさん、いいのかな〜?オレの蹴りは体重に物を言わせて(トホホ)重量級だぜ。
何せさっきは高校生君をガードごと吹っ飛ばしたぐらいだからな。
喰らえ!グリズリーヘビー級キ〜〜ック!!

ボスッ!!
「あ〜〜良い蹴りですよ〜、もう一本蹴ってみましょう〜」
あっら〜〜〜。全然効いてないよ、オレの蹴り。
でも考えてみりゃそりゃそうだよな。
黒帯って言ったらケンカ空手、極真会館の最高段位。
昇段試験には三十人組手と言われる30人連続本気の組手って過酷極まりない(亡く なる人も多いらしい)試験を合格した人だ。
そんな人が入門したての白帯君に本気になるわけが無い。
って言うか本気できたら死 んじゃうよ。

「はいやめて〜〜」
ハ〜〜〜ッ!終わった〜〜、黒帯さんとのスパー。
蹴りと突きを出しっぱなしだったから全身汗びっしょり。
その上呼吸が困難になってて息ゼエゼエ。
効くよ、こんな事やってたらダイエットに。
もうこれは最高に良い。
ダイエットのためのチョイスとしては最高だ。 正解だ、極真会館は。

これから夏。この夏終わったら見違えるように痩せてやるぜ〜。 と思っていたのが今年の6月。
確かに5キロ痩せたけど93キロが88キロになってもどっちにしろまだオデブだ。
来年の6月、そのときまでに最低の目標は83キロ。
達成するにせよ失敗するにせよ、この航海日誌で報告しますね〜。

(もと店長 ケンゾウ)

 

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