店員さんが奥から持ってきたもの。それはM−16・改造アーマライトじゃなくって 何だか小さな金色の箱だった。 その箱に大きくかかれているロゴは「F−3」!
「最後の一つですよ。もし売れ残ったら店長が自分で使うって言ってました。」
あるじゃないか。F−3のデッド! これだよ探していたカメラは。
「中身を見てみますか?」
店員さんの言葉には「見せてあげる」より「自分が見たい」って感じがありあり。 コッチが答える前にもういそいそと箱を開けている。
「良いですね〜作りが。」
言いながら店員さんが取り出したのは・・・F−3だ。
師匠から借りていたのとは違って黒光りしてピッカピカ、カッコイイよね、やっぱ り。
・・・だけど何かが足りないような気が・・ レンズが無い。今のままじゃ黒くて横に平たいただの箱。もちろん何も撮影できない。 ボディーはもちろんレンズも買わなけりゃいけないのか・・スゲー出費になるんじゃ
ないのか?ひょっとして。
「すいません・・おいくらなんでしょうか?」
「え〜〜っとですね。ボディーだけで15万5千円です。」
・・・ボディーだけでニコンUの1.5倍か・・・
「それからこのレンズも欲しいんですけど・・」
渡したメモには師匠のカメラについてたレンズ、85ミリ1.4fが書いてある。
「このレンズですか?良いレンズつけますね〜。ぼく欲しいですよ、このセット。」
もう店員さんはハイテンションに嬉々としてるけどオレのテンションは価格を聞いて下がりっぱなし。
「レンズだけで10万7千円ですね。」
チョっチョっチョっチョッと待ってくれ。 オレが欲しいのは磨いたガラスとそれを包んだ鉄の筒だ。そんな値段なわけがないだろう。 君、少し勘違いしてるよ。少し休憩した方がいいんじゃないのか?
「やっぱF−3にはこれぐらいのレンズがいいですよね。10万も高くないっす よ。」
たけーーよ!どう考えたって!
ちょっとパンフみせてくれ。
あぁぁぁ、書いてるよレンズ10万7千円。ニコンU本体+レンズより高いよ、この 85ミリレンズ。
こんなの即決できない、今日は帰ります・・・ と、その時あたりが一瞬まばゆい光に包まれたと思った瞬間にっこり微笑む師匠の顔 が・・
「阿部さん。写真の出来不出来はレンズで決まるといったでしょう。 今あきらめて他のカメラを買ってどうするんですか。 さあ、財布をふりしぼってF−3と85ミリレンズを買うのです。」
あぁ・・師匠の幻がやさしい言葉とは裏腹に家計を根底から揺さぶるような提案をしてくる。
もう自分には最終解脱(F−3とレンズを買う)しか残されていないのか。
「・・・さん。お客さん。 大丈夫ですか?」
ハッ、いまオレは師匠の幻と話をしていたのか。
「だいぶ考え込んでいたみたいですね。でももうF−3は手に入らないかもしれませんよ。 どうなさいます?F−3」
師匠の幻に説得されてもう迷いは無い。
「買います。F−3もレンズも。」
買ったよ、26万2千円。 もうこうなったら家に帰って撮影撮影また撮影で漂流貿易の戦力アップに貢献するしかない。
いろいろアドバイスありがとう、では帰ります。
「あ、お客さんちょっと待ってください。三脚は持ってますか?」
まだこれ以上の出費をさせるつもりなのだろうか、この店員は。
でも心配ご無用。デジカメで撮ってた時からちゃ〜んと使ってます、2980円の特売の三脚を。
「それはちょっとやめた方が良いですよ。」
なんだなんだまだ売る気か? ガソリンスタンドで「オイル真っ黒ですね〜交換しませんか?」と手当たりしだいに言ってるのと同じだろう。26万2千円使ったからといってなんでもかんでも買うわけじゃないぞ。
「あのですね〜。このカメラとレンズのセットだと1.5キロぐらいの重さになるん ですよ。 2980円のプラスチックの三脚だと重さで脚がたわみますよ。」
脚がたわむ?
「それで重たいレンズが前についてるでしょ、バランス崩して前にバ〜〜ンと倒れて 地面にレンズがガ〜〜ンと当たりますよ。」
おいおいおい、10万7千円のレンズが頭からバ〜〜ンと倒れてガ〜〜ンかよ。 冗談じゃねえぞ。
わかりました、買います(涙声)買わせてください。 おいくらでしょうか、脚がたわまない三脚は。
「このSLIKの三脚が売れてますね、2万4千円。」
結局この日はその他にシューティングバッグと中間リング、レリーズを買って買い物了。
最近は撮影も楽しくなってきて「買ってよかったな〜」と実感!
これからもホームページの写真、チェックしてみてくださいね。
(もと店長 ケンゾウ)
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