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トゥンガナン村の「グリンシン」とは、ダブルイカット技法として世に知られている。
その技法はあらかじめ経糸(たていと)と緯糸(よこいと)両方を染めてから織り上げるもので、完成して初めて模様が現 れるという、異常な労力と時間がかかる高度なものだ。
その技法を持っているのは世界でも日本とインドと、ここトゥンガナンの3ヶ所だけである。
そしてこのダブルイカット技法で作られる「グリンシン」によって、バリ東部の小さな村トゥンガナンは世界的に有名となったのである。

グリンシンを説明するにはまずトゥガナン村それ自体の説明を避けて通ることはでき ない。
バリはもともとそれ自体が王国であり、インドネシアに組み込まれるまで独自の文化を育んでいた。 そしてその古のバリを現在まで守り続けるのがトゥンガナン村である。
彼らは自分達をこう誇る。
「バリアガ(バリの選ばれた民族)」と。
商人すら村に立ち入る事はできず、村人以外と結婚した者は村を去らねばならないな ど、厳しい戒律は数年前まで頑ななまでに守られ続けていた。

atta bag/l
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atta bag/m
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kitchen goods
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zakka
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beads
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cloth/ikat
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cloth/batik
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cloth/gringsing
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stone carving
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ikat hanger
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material
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paninting
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その理由はトゥンガナン村の成り立ちにある。

こんな伝説がある。

古代トゥンガナン村では、神インドラは人類の創造主として崇められていた。
当時東南アジアの島々には無数の織物が存在していたが、中でも魔力を持つ「グリンシン」は特別で、それを生みだした神インドラは、織物の神としてもひじょうに崇拝されていた。

ある夜、神インドラはseleguiという木の上に座って美しい月夜を楽しんでいた。
そのときの美しい月夜の光景はその後織物の型(パターン)に姿を変え、この型こそが最初のバリにおける神聖な衣装となった。
そして神インドラはトゥンガナン村の女性達にダブルイカット技法を教え、聖なる布グリンシンを作るように導いた。
そのときからグリンシンはバリにおいて神聖な織物の1つというだけでなく、神インドラがトゥンガナン村に定めたある構想の不可欠な要素となっ た。
その構想とは、インドラの思い描いた小宇宙の具現だった。
それはトゥガナン村の人々に領地を守る啓示を与えた事に始まる。
領地を守ると言う事は「心身共の純潔」を意味しており、この村の文化において最も重要なことであった。 それは周りの領地の人と交わらない(浄化)だけでなく、心身共に健康な男または女しか神の儀式に参加出来ないという概念にも現れている。
このようにトゥンガナン共同体の中においてグリンシンを身につけることは、神に選ばれたトゥンガナン村の一員であることの証明であり、また神の儀式に参加出来るという証でもあった。
同様にこのグリンシンの魔力によってトゥンガナン村の純潔は、外部のあらゆる邪悪な物から守られ続けた。
その名残は現在も村を取り囲む塀に見て取る事ができる。

その「バリアガ」の彼らが人生の節目でのみ纏う伝統の布、それが「グリンシン」である。
産まれた時に体を包まれ、死した時棺に掛けられるグリンシンは、魔よけの意味を持つ 紺・赤・黄に染め上げられる。
一枚のグリンシン製作にかかる年月は実に3年以上、10年を要するものもある。
親から子へ、子から孫へと受け継がれるグリンシンの技術、そして魂はまさに「Sprits of Bali」と呼ぶにふさわしい。

なお、今でも「グリンシンだけは村以外の者に売るべきではない」と語るトゥガナン村の住人がいることを最後に付け加えておきます。

(参考文献:「BALINESE TEXTILES」)

   

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■IM02 トゥンガナン村グリンシン
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