《空手バカ一代・後編》

Vol.28 2001/10/06

 

もうコッチとしては清水の舞台から飛び降りる気持ちで入会を決意した極真会館入会。 (入門か?)
荒ぶる猛者たちの練習風景に直接触れて「コレしかない!」とビビッときたわけだけど、入会のお願いをしたときの先生(師範でしょうか?)のお言葉。
「胴着のサイズ合わせとかありますから岡山支部に来てください。」
なんともあっさりしたお言葉で、聞いた直後はオレ自身も「あハイ、明日でもうかが います」とか言っちゃったんだけど、あとで考えるとそうだよな、オレ極真会館に入会しちゃうんだよな。 エグザスに出張してるアトラクションみたいな軽い気持ちもないではなかったわけだけど、もう支部まで行けばそのものズバリの入門だ。 後に引けません。

さて、翌日。
先生に指定された極真会館の岡山支部にやってきました。
岡山支部は岡山駅の程近く、総合グラウンドに面したコンビニエンスストアの2階にある。
車を近くの駐車場に停めて、岡山支部に向けてしゅっぱ〜〜つ。 もうコッチとしては入会する気満々なわけだからエグザスに見学に言った時のような迷いは無い。 だからそのぶん気は楽だ。
そんなこんな考えながら歩いているうちにコンビニ横の入り口に着いてしまった。
入り口の扉には「見学の方はお気軽に」と書いてある。 なかなか「お気軽」に極真会館の見学をする人はいないんじゃないかと思うんだけど 入会を決意したオレには関係ないのだ。
扉を開ければそこから極真の世界、アナザーワールドだ。
階段が2階に続いてるんだけどもうピッカピカ。

階段を上ってみると・・・思ってたほど「道場!」って感じじゃないな。 「鹿島大明神」「香取大明神」の掛け軸と、「ド〜〜〜〜ン!!」と地響のような音 がする大太鼓が中央にあるのかと思っていたら両方ともナシ。ちょっと拍子抜け。
稽古の時間じゃないのか練習している人はいないみたいだ。
奥に事務所みたいなのがあるぞ、「すいませ〜〜ん、入会の手続きに来たんですけど〜。」
事務所の男性が微笑みながら出てきた。
「あ、入会の方ですか?」 とてもフレンドリーかつスマイリーじゃないか。 普通の人と違うところはやけに姿勢が良いことと拳が稽古でつぶれていることか。
そんなことを横目でチェックしながら「エグザスで入会したいんですけど胴着を買い に来ました。」と伝えると「あ〜〜体大きいですね(もうすぐ見違えるように小さく なる予定です)、一番大きい胴着を出しましょう。」と、さっそくでっかい胴着を持ってきてくださった。
胴着か〜〜〜、まさかこのトシになってこんな物買うとは思ってもみなかったよ な〜。
素材は何だかテントの素材みたい。もう普通に考えたらひどく重いしゴワゴワしてるし服じゃないよ。
胸の部分に刺繍があってなんか書いてんだけど達筆すぎて読めません。たぶん「極真会」みたいなことを書いてるんだと思う、コレでいよいよ極真会館の一員ね。

さ〜〜て、胴着も買ったし帰るとするかな。
「あとですね、足のサポーターとグローブが練習の時に要るんですけど。」
よく考えたら絶対要るよな、グローブとサポーター。
かつて極真大会において黒澤浩樹師範は手の皮が破けて骨まで見えていながらパンチを出しつづけたという。
スゴイ話じゃないか、ホネだよホネ。 もちろんオレはホネどころか皮一枚むけたら戦闘意欲ゼロ、そうならないためにもサポーターは必需品だ。
「買います。売ってください。」
痛い出費だけど仕方ない。頑張ってアタバッグ売ろう。
「それとですね、ビデオがあるんですけど。」 ビデオ?極真大会名勝負のビデオか?それは今は要らないんですけど〜。
「いえ、道場作法の指導のビデオです。これを見て一通りの道場作法を勉強して欲しいんですけど。」
そりゃそうだ、胴着のたたみ方から挨拶の仕方まで今のオレにはわからないことだらけ。 知らないうちに極真会館の禁忌を破ってる可能性も充分アリだ。 「ちょっとコッチきなさい。」と言われてからでは遅すぎる。
「買います、売ってください。」 痛すぎる出費だけど仕方ない、売りまくらなきゃな、アタバッグ。
もうないだろ、買うものは。 それでは帰ります。
「あ、それとですね。アンケートに答えてもらいたいんですけど。」
アンケートか。漂流貿易でもとってます、アンケート。 お客様の生の声を聞いて今後の仕事に活かすわけやね。
なになに、住所や名前の他に「何を見て入会しようと思いましたか?」みたいな質問があるぞ。
エグザスのプログラムの中にあまりに目を引く極真の文字があったからだよな。ビックリしたよ、あのときは。
ん?「極真で何を目指しますか?」 ご丁寧に「(例)心身を練磨し黒帯を目指します」みたいな例文が書いてある。
困ったなこれは。こんなこと書かれちゃ運動不足解消やダイエットのためとは言えな いよな。 かと言って「連日の猛稽古で黒帯を取ります」なんて大それたことはいえないし。
う〜〜ん、う〜〜んと頭を抱えていると「あ、お仕事されてるわけですから『運動不足解消』とかでも大丈夫ですよ。」と助け舟が・・
「何をおっしゃるんですか!目標は極真世界大会に出てフランシスコ・フィリヨをKOすることです」と大見得切りたいとこだけど、ここは正直に「はい、ダイエットのためでお願いします」と極真魂とは縁遠い目標設定。

でもあれだよ、極真会館の資料に「阿部憲三、ダイエット完遂のため入門」と書かれ たら成功しないわけにはイカンだろ、ダイエット。
もう極真の練習もダイエットも後に引けなくなってしまったオレ。
極真会館もダイエットも、そして漂流貿易も、前進あるのみです〜。

(もと店長 ケンゾウ)

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