VW(ヴェーウェー)サファリ
バリで見かけるとギョッと目を引くのがこのVWサファリ。
フォルクスワーゲンビートルの車体違いのモデルです。
生産は1975年までで、今回試乗したのは1965年モデルのバリバリのクラッシックカー。修理が簡単とは言えバリ人の物持ちの良さには驚かされます。
見ての通りで外装は第2次世界大戦時のドイツ軍の車両、キュベルワーゲンにそっくり。もちろんフォルクスワーゲンがベースなので車体はもっと大きい。
鉄板そのままの車体は潔くもあり、はくしょん大魔王には悪いが日本のネイキッドのデザインがえらくわざとらしく感じてしまう。
扉を開ける、っとビックリ。扉が小さい。上下に40cmぐらいだろうか、屋根が無いので剛性が低い分サイドシルを高くしてるのだろうけど、それにしても異常なサイドシルの高さだ。
跨ぐようにして乗りこむと潔いまでに鉄板剥き出しの室内。
目の前に見えるのはスピードメーターだけ、その前に見えるのはワイパーを動かすモーターだ。
足元に目をやるとペダルは全てオルガン式。パッタンと踏み込む感じは日本車には無いふしぎな感じ。ペダル自体もずいぶん小さい。
良く考えてみれば「空冷水平対向」「リアエンジンリアドライブ」「オルガン式ペダル」と言えば一昔前のポルシェそのまんま。 そう考えれば試乗にも力が入るってもんだ。
では運転してみましょう。
ってすごいなこりゃ。
まず普通にアクセルが踏めない。オルガン式がここまで違和感があるとは思わなかった。 ブレーキを踏もうとしても足が引っかかる。
最高速度はどのくらいだろう。とにかく100キロ出したら怖くってそれ以上踏めない。 車がバラバラになりそうだ。
ハンドリングもこれまた凄い。何と言うかハンドルを切ってもワンテンポ何も起きない。
そのまま走り続ける。
しばらくしてグッと曲がってくる感じがする。船じゃないんだから普通は車でそんな事は無いだろう。
日本車の感覚でいくと信じられないくらい怖い。
ノイズはもうスゴイの一言。なにしろ決して小さくないはずの水平対向エンジンの勇ましい音が運転席まで聞こえてこない。
かわりに車体のギシギシ軋む音やらホロの軋む音やらロードノイズやらがもう凄い。 隣の人の声もほとんど聞こえない。
でもここまでくると笑えてくるから不思議。運転してても口元が緩んでしまう。
良いんじゃないのか車はこんなもんで、楽しいよこの車。
総括すると、全ての部分でキジャンよりも出来が悪いです。
もうホントに出来が悪いって感じ。でもこんなに楽しい車は生まれて初めて、っていうか、こんな車が公道走って良いの?
もし日本でナンバーつけて走ってたらオシャレで良いだろうな〜。
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